年賀状
【鑑 賞】年賀状だけのえにしもいつか切れ
昭和前期から令和初期にかけての俳人・稲畑汀子(いなはたていこ)の作品。
年賀状が届かなくなってしまった人への寂しい思いが強く感じられる句。
以下、季語「年賀状」の解説です。
【表 記】
(漢字) 年賀状
(ひらがな) ねんがじょう
(ローマ字) nengajo
【季 節】
新年
【分 類】
人事
【意味・説明】
年賀状を送る習慣は、明治時代に郵便はがきが発行された頃から急速に広まりました。
The custom of sending New Year’s cards has spread rapidly since the Meiji period, when postcards were first issued.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
会いたいといつも添書年賀状
(松村美智子)
家中が年賀状読む遅き朝
(北畠明子)
一團の年賀状にぞ襲はれし
(相生垣瓜人)
教へ子の自慢文字太年賀状
(伊藤千恵子)
ガリ版にこだはつてゐる年賀状
(山田六甲)
彼ならむ律儀な文字の年賀状
(石川等)
青海波打越え来るや年賀状
(野村喜舟)
その人とすぐわかる文字年賀状
(塩川雄三)
添へ書きはみな声もちて年賀状
(鷹羽狩行)
代筆を詫びる恩師の年賀状
(赤座典子)
遂に覚悟して書きはじむ年賀状
(右城暮石)
転校生七拾年の年賀状
(玄内栄)
どっと来て少しづつ来て年賀状
(利根川妙子)
どれも皆同じ字体の年賀状
(桑原敏枝)
年賀受け年賀状受け籠りをり
(松本たかし)
年賀状ああこの人のこの癖字
(高澤良一)
年賀状息詰めて書き書きつゞける
(右城暮石)
年賀状おのれの抱負など書いて
(松沢久子)
年賀状書く邪魔をして少女も書く
(右城暮石)
年賀状くらいは出せよ圭三殿
(浅海好美)
年賀状添へる一句にてこづりて
(桑垣信子)
年賀状遠き友より書きはじむ
(田中藤穂)
年賀状ながすぎるヘビえがきしか
(小川千子)
年賀状二度出すこれを老といふ
(西川五郎)
年賀状まだくる妻の三回忌
(栗田まさし)
年賀状読み返しいる老の日々
(岩田ひろあき)
年賀状若き人の句抜きんでて
(稲木款冬子)
ひとまわり上の辰年賀状の主
(高澤良一)
故里のかぞへ歌あり年賀状
(岡田房子)
ワープロより毛筆勝ちし年賀状
(吉田多美)
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