夕空にかかる虹

 

【鑑 賞】虹を懸け時が到ればまた外す

大正時代半ばから平成初期にかけての俳人・山口誓子(やまぐちせいし)の作品。

虹がもつ儚さが感じられる句。

 

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以下、季語「虹」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 虹

(ひらがな) にじ

(ローマ字) niji

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


虹は夕方に多く見られますが、朝方や昼間にもかかることがあります。


Rainbows are most often seen in the evening, but they can also appear in the morning or during the day.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

朝の虹森の彼方に雉子孵り
(松村蒼石)

いねし子に虹たつも吾悲壮なり
(佐藤鬼房)

宇治山にかかれる虹や真菰刈る
(岸風三楼)

大いなる虹の中なり巌に立ち
(相馬遷子)

大空は虹してすてし蜆殻
(松瀬青々)

幼きは愛し大きな虹の中にいる
(荻原井泉水)

枯菊に虹が走りぬ蜘蛛の糸
(松本たかし)

元朝の虹の立ちたること知るや
(稲畑汀子)

消えかかり虹の片脚宙ぶらりん
(高澤良一)

君虹に気付いてゐしや吾知れり
(高澤良一)

きれぎれの虹きれぎれの雲とかな
(草間時彦)

草刈の笠阿呆かむり虹に立つ
(西山泊雲)

今朝も亦土うるおいて未完の虹
(田川飛旅子)

濃く低き虹を冠りぬ幾工場
(石田波郷)

ことごとく宮殿のもの虹も亦
(大峯あきら)

子を抱いて虹に立つ人また妊めり
(波多野爽波)

五月雨が合歓に止む時虹かゝる
(細見綾子)

湿原の茱萸あさる童に虹たちぬ
(飯田蛇笏)

絶滅の目高は虹に紅遺し
(高澤良一)

蝉鳴かずなりたる虹の全けれ
(右城暮石)

その色を湖に頒ちし時雨虹
(山田弘子)

堕天使の柔肌触れて虹燃ゆる
(内藤吐天)

旅いつも終幕のあり時雨虹
(山田弘子)

ちぬ釣に虹立つ涛のしづまりぬ
(西島麦南)

土管から子が一人づつ虹を見る
(内藤吐天)

虹が出るあゝ鼻先に軍艦
(秋元不死男)

虹消えし空より乳房赤坊に
(野見山朱鳥)

虹消えてしまひし窓に子等遊ぶ
(稲畑汀子)

虹消えて忽ち君の無き如し
(高浜虚子)

虹消えて夕山寒し薄紅葉
(正岡子規)

虹消ゆと昨日のことのやうに言ふ
(加倉井秋を)

虹濃くて苗田のみどりひきしまる
(内藤吐天)

虹たつやかの少年の日のごとく
(岸風三楼)

虹といふ聖なる硝子透きゐたり
(山口誓子)

虹飛んで来たるかといふ合歓の花
(細見綾子)

虹になき雲にうつろひ夏ひばり
(飯田蛇笏)

虹のある切手を嘗めて暗き世に
(田川飛旅子)

虹の絵のまへに師走のひと来たり
(百合山羽公)

虹の空鮮かにして冬の夢
(阿部みどり女)

虹の中天秤かつぐ農夫婦
(阿部みどり女)

虹の根の太しや土に幸充ちて
(内藤吐天)

虹の橋カルストの野をうるほして
(阿波野青畝)

虹久し遠樹一列暮れつゝをり
(篠田悌二郎)

虹まどか妻子は切に粥をふく
(石田波郷)

虹をかし長女も次女も嫁にだし
(久保田万太郎)

虹を見し子の顔虹の跡もなし
(石田波郷)

虹を見て来し人々の顔白く
(星野立子)

虹をみる吾に百姓紫蘇を摘む
(百合山羽公)

野の緑にはかに若し虹かかる
(相馬遷子)

のれん出す野毛飲屋街虹立ちて
(高澤良一)

 


【関連季語・子季語】


虹立つ  虹の橋  虹晴れ

 


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