光沢のある真赤な林檎

林 檎

 

【鑑 賞】空高く林檎を守る案山子哉

明治後期から昭和初期にかけての物理学者・作家・俳人である寺田寅彦(てらだとらひこ)の作品。

秋空と林檎という組合せが、これ以上はないと言えるほどの秋らしさを感じさせてくれる句。

 

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以下、季語「林檎」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 林檎

(ひらがな) りんご

(ローマ字) ringo

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


林檎は紀元前から栽培されていたと考えれており、現在では品種が千以上といわれています。


Apples are believed to have been cultivated since pre-Christian times, and today there are said to be over a thousand varieties.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

朝市の婆の勧める早生りんご
(高澤良一)

朝の茶は林檎をもぎし後に飲む
(福田蓼汀)

アダムめきイヴめき林檎噛めるあり
(日野草城)

雨蛙西日移りて林檎炎ゆ
(飯田龍太)

雨の十一月林檎灯あつめ前夜祭
(古沢太穂)

争わず盗まずさみし樹に満つ林檎
(寺田京子)

淡路女忌帯に林檎をだく別離
(石原八束)

十六夜や夜明けてもなお林檎の香
(金子兜太)

胃痛癒えて林檎の来る嬉しさよ
(正岡子規)

稲光りんごの芯に通るべし
(高澤良一)

馬に積む林檎林の林檎哉
(会津八一)

老いよとや赤き林檎を掌に享くる
(橋本多佳子)

オリオンと店の林檎が帰路の栄
(中村草田男)

風荒き雪と林檎を噛みしむる
(臼田亞浪)

噛みとりし林檎の歯型雪しきる
(加藤楸邨)

皮のまま林檎食い欠く沖に船
(西東三鬼)

甲板に林檎を噛る女かな
(高濱年尾)

綺羅星のもとに林檎を食べて憩ふ
(木村蕪城)

銀河より享けし微光や林檎噛む
(平畑静塔)

食ひかけの林檎をハンドバッグに入れ
(高浜虚子)

比ぶれば林檎は若く柿は老ゆ
(相生垣瓜人)

五大陸模様の林檎ならば買ふ
(櫂未知子)

今宵煮るべし国光といふ林檎
(高澤良一)

子を抱くや林檎と乳房相抗ふ
(中村草田男)

皿に盛るリンゴ崩るるところを描く
(高澤良一)

皿の上の林檎揺れをり食堂車
(高浜虚子)

しずかな海しずかな林檎ころがりだす
(寺田京子)

しばらくは眺めをりしが林檎剥く
(稲畑汀子)

最高となり頂上の巌の林檎
(西東三鬼)

採点のペンが凍て又林檎凍て
(木村蕪城)

死顔や林檎硬くてうまくて泣く
(西東三鬼)

襯衣をけさ着初めて林檎食うべけり
(永井龍男)

城聳え街中にある林檎園
(福田蓼汀)

新涼の鴎ひるがへる林檎園
(石原舟月)

世界病むを語りつゝ林檎裸となる
(中村草田男)

舌端に触れて余寒の林檎かな
(日野草城)

草原に釧路の煙林檎くふ
(京極杞陽)

早春や鶺鴒きたる林檎園
(芝不器男)

相聞歌林檎の如く雪匂へ
(内藤吐天)

束縛の右に林檎を置いて午後
(櫂未知子)

父と呼びたき番人が棲む林檎園
(寺山修司)

父の忌や林檎二籠鯉十尾
(杉田久女)

津軽路の民話ゆたかに林檎村
(河野南畦)

粒大き出羽の林檎と剥き翳し
(石塚友二)

積み上げて林檎うれしや枕下
(会津八一)

つやつやと林檎涼しき木間かな
(江左尚白)

てのひらに載りし林檎の値を言はる
(日野草城)

寺影を出て山影の林檎みち
(鳥居おさむ)

天澄みて地澄みて林檎木に紅し
(相馬遷子)

天澄めば林檎耀き垂れにける
(岸風三楼)

独房に林檎と寝たる誕生日
(秋元不死男)

怒鳴り売るりんごわが街賽の目に
(寺田京子)

採りつくしたる林檎園雪嬉々と
(上田五千石)

泣顔の思ひ出すごとく林檎噛む
(加藤楸邨)

夏川のみどりはしりて林檎園
(飯田龍太)

夏の月皿の林檎の紅を失す
(高浜虚子)

なめらかに紅のながるる林檎かな
(上村占魚)

盗みくふ林檎に腹をいためけり
(正岡子規)

歯をあつる林檎パリッと秋の富士
(富安風生)

歯にあてて雪の香ふかき林檎かな
(渡辺水巴)

春行く夜林檎剥きつゝ港行く
(原月舟)

姫林檎三日の雪に紅きそふ
(角川源義)

不平あらば壁に擲て寒林檎
(日野草城)

降りいでし雨に林檎の紅くもる
(上村占魚)

星空へ店より林檎あふれをり
(橋本多佳子)

蛍めく奥羽りんごの明りかな
(室生犀星)

舞ひ果てゝ林檎をすべる大蛾かな
(前田普羅)

道の辺に一樹百顆の林檎立つ
(水原秋桜子)

山で噛る林檎紅肌雪で磨く
(福田蓼汀)

山の日の林檎枯れ立つもののうち
(古舘曹人)

雪声は人声りんごに臍ありぬ
(寺田京子)

雪に埋もれ泳ぐ林檎樹どの樹の声
(寺田京子)

雪晴の埠頭まぶしく林檎売
(西島麦南)

夜の卓や光りあつめて林檎あり
(阿部みどり女)

林檎赤し寒く貧しく国の果
(福田蓼汀)

林檎甘し八十婆まで生きること
(寺田京子)

りんごお早うお岩木お早う旅早立ち
(高澤良一)

林檎売雪来れば穿く雪沓か
(水原秋桜子)

林檎熟るる雲の襞々張り出すだけ
(香西照雄)

林檎美し古名画をたれか愛せざる
(飯田蛇笏)

りんご園ぼつぼつ交じる紅りんご
(高澤良一)

林檎置く車窓雪野は果もなく
(永井龍男)

林檎食ふりんごのなかにゐるやうに
(辻田克巳)

林檎くふて牡丹の前に死なん哉
(正岡子規)

林檎くふて又物写す夜半かな
(正岡子規)

林檎樹下病める林檎の集められ
(山口誓子)

林檎散る昼かみなりの鳴るなべに
(高浜虚子)

林檎といふ宇宙を食べてゐる私
(皆吉司)

林檎煮る香が厨より本を読む
(高澤良一)

林檎の香こぼす馬橇の疲れをり
(堀口星眠)

林檎の木いまだ幼く春を待つ
(菖蒲あや)

林檎の荷解かんと鼻唄交りかな
(高澤良一)

林檎のみ紅顔祖父母と父母が遺族
(香西照雄)

林檎一つ投げ合ひ明日別るるか
(能村研三)

林檎へ手触れさせもらふ菩薩晴
(村越化石)

林檎むく掌のうつくしくしあはせに
(成瀬桜桃子)

林檎もぐ脚下鳶ゆく日を載せて
(木村蕪城)

林檎剥く指も曠野の夕焼を
(加藤楸邨)

林檎より雲たたなはり日が囃す
(古舘曹人)

林檎割りことしの蜜の多寡云へり
(高澤良一)

 


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