春の山

佐保姫

 

【鑑 賞】 佐保姫とともに笑ふや山の景

明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の俳句作品。

春の穏やかな情景が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「佐保姫」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 佐保姫

(ひらがな) さほひめ、さおひめ

(ローマ字) sahohime、saohime

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


佐保姫は、春をつかさどる女神の名前で、秋の女神である竜田姫(龍田姫、立田姫)と対比されます。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

大手門くぐり佐保姫すすみゆく
(大串章)

先達てお目に掛かれり佐保姫に
(高澤良一)

佐保姫が降りてくるやも車寄せ
(能村研三)

佐保姫に召さるゝ妹のわかれかな
(日野草城)

佐保姫に山童の白にぎりめし
(大串章)

佐保姫に笑はれてこそたびの顔
(正岡子規)

佐保姫の海より来たる素足かな
(大屋達治)

さほ姫の御目の上のこぶし哉
(小林一茶)

佐保姫の砧をかくす舟の小屋
(星野紗一)

佐保姫の梢を渉る落花かな
(日野草城)

佐保姫の鈴鳴る水の斑雪山
(山上樹実雄)

佐保姫の裾にかくるゝ雉子哉
(松瀬青々)

さほ姫の染損ひや斑山
(小林一茶)

佐保姫のたぶさの風か少しづゝ
(大須賀乙二)

佐保姫の誰を召すとや呼子鳥
(巌谷小波)

佐保姫の眠や谷の水の音
(松根東洋城)

佐保姫の乗る雲ならむやはやはと
(林翔)

さほ姫のばりやこぼしてさく菫
(小林一茶)

佐保姫の眉についたる柳哉
(正岡子規)

さほ姫の御子も出給へ夏の月
(小林一茶)

佐保姫の胸乳の形に春の山
(松瀬青々)

佐保姫の眼をきれ長に風吹ける
(今瀬剛一)

佐保姫のもてなしあつし独り旅
(正岡子規)

佐保ひめの笑はゞ笑へこげたかほ
(正岡子規)

佐保姫は朧を常の姿かな
(正岡子規)

佐保姫は白き障子を隔かな
(夏目成美)

佐保姫は裾のすがるや富士の山
(正岡子規)

佐保姫は娘、龍田姫は後家也けり
(正岡子規)

佐保姫も虱見給へ梅の花
(小林一茶)

佐保姫も襷かけゝん草の餅
(尾崎紅葉)

佐保姫や青柳の眉桃の顔
(伊藤松宇)

佐保姫を思へば千島蝦夷が島
(正岡子規)

佐保姫を恋に都のそめ物屋
(正岡子規)

佐保姫を迎へに出づる帆船か
(大島民郎)

約束もなく佐保姫に逢ひにゆく
(今井杏太郎)

 


【和歌・短歌に詠まれた「佐保姫」】


佐保姫の
糸染め掛くる青柳を
吹きな乱りそ春の山風
(平兼盛)

佐保姫の
うちたれ髪の玉柳
ただ春風のけづるなりけり
(大江匡房)

佐保姫の
霞の衣ぬきをうすみ
花の錦をたちやかさねむ
(後鳥羽院)

佐保姫の
衣はる風なほさえて
霞の袖にあは雪ぞふる
(嘉陽門院越前)

佐保姫の
染め行く野辺はみどり子の
袖もあらはに若菜つむらし
(順徳天皇)

佐保姫の
筆かとぞみるつくづくし
雪かきわくる春のけしきは
(藤原為家)

山風に
咲ける躑躅は佐保姫に
誰が脱ぎかけし許し色めも
(郁芳門院安芸)

佐保姫の
別れかなしも来ん春に
ふたたび逢はんわれならなくに
(正岡子規)

 


【関連季語・子季語】


竜田姫

 


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