七 月
【鑑 賞】七月や既にたのしき草の丈
大正前期から昭和中期にかけての俳人・日野草城(ひのそうじょう)の作品。
七月に特有の夏らしさが感じられる句。
以下、季語「七月」の解説です。
【表 記】
(漢字) 七月
(ひらがな) しちがつ
(ローマ字) shichigatsu
【季 節】
夏
【分 類】
時候
【意味・説明】
旧暦の場合、七月の異称は文月(ふみづき、ふづき)です。
In the case of the lunar calendar, another name for July is Fumizuki.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
いちじゆくの実の七月を占はれ
(三橋鷹女)
七月の青嶺まぢかく熔鉱炉
(山口誓子)
七月の家ゆるがせて汽車黒し
(桂信子)
七月の海がさみしきはずはなし
(長谷川双魚)
七月の蝌蚪が居りけり山の池
(高浜虚子)
七月のくらきところを鶏あゆむ
(長谷川双魚)
七月の喧嘩で落ちしかぶりもの
(筑紫磐井)
七月の殺気真昼の水を過ぐ
(桂信子)
七月のセル着せられて踊り見に
(石川桂郎)
七月の僧と向きあふ小半日
(石川桂郎)
七月の足袋白く穿き夜毎の雨
(長谷川かな女)
七月のつめたきスウプ澄み透り
(日野草城)
七月のてのひらにおく八ケ岳
(神蔵器)
七月の冷えあららぎの実を食す
(長谷川かな女)
七月の舞台幕ごと飯食べる
(宮武寒々)
七月の碧落にほふ日の出前
(水原秋桜子)
七月の菩提樹の実をかく拾ふ
(後藤夜半)
七月の夕闇ちちもははもなし
(平井照敏)
七月の夜明の浪や垣の外
(増田龍雨)
七月の童糞せり道の上
(石田波郷)
七月や海の店にも李出て
(森澄雄)
七月や銀のキリスト石の壁
(大野林火)
七月や子を連れ歩ゆむ山鴉
(萩原麦草)
七月や砂地が影になつてゐて
(細見綾子)
七月や壮年の樹に風はらみ
(筑紫磐井)
七月や冷してたまふ水ぐすり
(石田波郷)
七月や山羊の目遠き水上へ
(波多野爽波)
ねむの花ちる七月の仏かな
(飯田蛇笏)
物一つ置かぬ円卓七月ヘ
(村越化石)
夕月に七月の蝶のぼりけり
(原石鼎)
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