鹿

鹿

 

【鑑 賞】をりをりに鹿のかほ出す紅葉哉

明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の作品。

鹿と紅葉の古典的な組み合わせから、静かな秋の情景が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「鹿」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 鹿

(ひらがな) しか

(ローマ字) shika

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


「鹿」だけで秋の季語となります。

他の季節で使う場合は、「春の鹿」「夏の鹿」「冬の鹿」とします。


“Shika” alone is a seasonal word for autumn.

If used in other seasons, use “haru no shika,” “natsu no shika,” or “fuyu no shika.”

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

愛荒れて草にとけこむ遠い鹿
(坪内稔典)

あしびより出したる鹿の首長し
(西山泊雲)

奥山や五声続く鹿をきく
(向井去来)

かたはらに鹿の来てゐるわらび餅
(日野草城)

狂言に鹿おどろきし後宴能
(右城暮石)

凶年を悲しむ鹿や熊を撃つ
(百合山羽公)

空也忌に拝むや鹿の裘
(松瀬青々)

雲しろき比一日を鹿の声
(斯波園女)

月光に見えみ見えずみ水の鹿
(鈴木花蓑)

こちに来る鹿やあしびの花つけて
(西山泊雲)

この神の山なればこそ花に鹿
(立花北枝)

さくらさへ紅葉しにけり鹿の聲
(与謝蕪村)

さぞな星ひじき物には鹿の革
(松尾芭蕉)

鹿あゆむ後日の能の芝の上
(後藤夜半)

鹿なくや奈良の若葉のうす月夜
(中勘助)

鹿に乗る神もまします旅路かな
(高浜虚子)

鹿の眼のわれを見てゐて風を聴く
(山口青邨)

しぐるゝや鹿にものいふ油つぎ
(加舎白雄)

すゝ掃の埃かつぐや奈良の鹿
(炭太祇)

ぞろ~と群れゆく鹿のうしろかな
(野村泊月)

月と成闇となりつゝ鹿の恋
(高井几董)

遠出して鹿も時雨に逢ひにけり
(鈴木真砂女)

どの鹿となく屯より声寒き
(皆吉爽雨)

なら山の神の御留守に鹿の恋
(小林一茶)

はぐれ鹿寄り来て去りし時雨かな
(岸田稚魚)

引き出しを鹿が出てゆく星月夜
(皆吉司)

火をはこぶ娘のはるかより鹿の雨
(飯田蛇笏)

ふるひ落つ一片の葉に鹿生る
(原石鼎)

まだ鹿の迷ふ道なり初しぐれ
(加賀千代女)

まぼろしの鹿はしぐるるばかりなり
(加藤楸邨)

 


【和歌・短歌に詠まれた「鹿」】


奥山に
紅葉踏み分け鳴く鹿の
声聞く時ぞ秋は悲しき
(猿丸大夫)

 


【関連季語・子季語】


鹿の声  小男鹿

 


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