淑 気
【鑑 賞】たづね来し娘のしとやかに淑気かな
大正末から昭和中期にかけての俳人・高橋淡路女(たかはしあわじじょ)の作品。
新年の厳かな雰囲気が強く感じられる句。
以下、季語「淑気」の解説です。
【表 記】
(漢字) 淑気
(ひらがな) しゅくき
(ローマ字) shukuki
【季 節】
新年
【分 類】
天文
【意味・説明】
淑気は、新年のめでたくてなごやかな雰囲気を表現する季語です。
Shukuki is a seasonal word that expresses the happy and peaceful atmosphere of the New Year.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
尼寺の蘇の中より淑気かな
(飯田龍太)
いんぎんにことづてたのむ淑気かな
(飯田蛇笏)
うまやぢの旅人影なき淑気かな
(西島麦南)
おどろしきものと淑気と共に闇
(伊藤白潮)
葛飾は男松ばかりの淑気かな
(能村登四郎)
観音の頤仰ぐ淑気かな
(森 澄雄)
十字架の姿正しき淑気かな
(阿波野青畝)
淑気過ぐ斧鉞入らざる杜の上を
(飯田龍太)
淑気ただならず紀元二千年
(林翔)
淑気とは松の匂ひの男山
(能村登四郎)
淑気満つ大聖堂に椅子低く
(阿波野青畝)
しろがねに塗る結ひ柳淑気罩め
(阿波野青畝)
すめろぎの洲の甲斐ヶ根淑気満つ
(飯田蛇笏)
畳擦る跫音も淑気満ちにけり
(堀口星眠)
たふさぎの男や淑気たちのぼる
(伊藤白潮)
遠き世のわけても塔の淑気かな
(鷹羽狩行)
なかんづく祖父のほとりの淑気かな
(鷹羽狩行)
庭竹の四五本にある淑気かな
(鷹羽狩行)
野に山にたみくさの祈り淑気満つ
(飯田蛇笏)
袴ピシと能楽師来て淑気賜ぶ
(文挟夫佐恵)
富士に遠く浮べる雲も淑気かな
(村山故郷)
札所寺裏ゆく水の淑気かな
(飯田龍太)
二つ拍ち鳴らす柏手淑気吸ふ
(阿波野青畝)
踏みしめて淑気みなぎる御所畳
(高澤良一)
ブルドーザーにも頬白の淑気かな
(飯田龍太)
仄々と御塩浜翠む淑気かな
(阿波野青畝)
麦畑に風少しある淑気かな
(高橋淡路女)
藪に赤きからたちばなや淑気充つ
(山口青邨)
山裾の四五戸の宙を淑気過ぐ
(飯田龍太)
雪国のことに淑気や飾炭
(森澄雄)
【関連季語・子季語】
淑気満つ
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