道のぬかるみ

春 泥

 

【鑑 賞】 春泥に歩みあぐねし面あげぬ

昭和時代の俳人・星野立子(ほしのたつこ)の俳句作品。

ぬかるみを前にしたときの心境がよく伝わってくる句。

 

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以下、季語「春泥」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 春泥

(ひらがな) しゅんでい

(ローマ字) shundei

 


季 節


 


【分 類】


地理

 


【意味・説明】


春泥とは、春になって雪解けの道などがぬかるんで泥だらけの状態になったものをいいます。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

乳母車の車輪がつけて行く春泥
(細見綾子)

幻影の春泥に投げ出されし靴
(星野立子)

ゴム毬がはづみてつきし春の泥
(細見綾子)

春泥てふ箔付け戻りたりけるを
(櫂未知子)

春泥に映る花屋と床屋かな
(京極杞陽)

春泥に影濡れ濡れて深夜の水
(西東三鬼)

春泥に影坊二つあとやさき
(飯田蛇笏)

春泥に傾く芝居幟かな
(富安風生)

春泥にかるき荷物を下げて来ぬ
(上村占魚)

春泥に小虫舂く二タところ
(西山泊雲)

春泥にさへも決断力不足
(後藤比奈夫)

春泥にちよと考へて廻りみち
(高浜年尾)

春泥につかみて炭を頒ちけり
(清水基吉)

春泥に月の金片きらきらす
(福田蓼汀)

春泥になほ降る雨のなかを来し
(西島麥南)

春泥にはねを上げたる素足かな
(日野草城)

春泥に光り沈みし簪かな
(長谷川かな女)

春泥に低まりゆくや稚児の塚
(長谷川かな女)

春泥に振りかへる子が兄らしや
(中村汀女)

春泥にわたせる板を掃いてをる
(京極杞陽)

春泥のふるさといでぬ者ばかり
(萩原麦草)

春泥の眠り深くて月昇らず
(内藤吐天)

春泥の水の乾きしひとところ
(今井杏太郎)

春泥の道が一筋夜を貫く
(右城暮石)

春泥の夜を光りて気味わるく
(高浜年尾)

春泥や赤い足袋の子馳せおくれ
(中村汀女)

春泥や意志とならねばならぬもの
(細見綾子)

春泥や一学童の松葉杖
(河野静雲)

春泥や忌日の寺の坂がかり
(石塚友二)

春泥や車ひしめく畳市
(下村ひろし)

春泥やくもり硝子にうつる花
(細見綾子)

春泥や酒屋床屋と相対ひ
(西山泊雲)

春泥や守礼の門の扉を持たず
(阿波野青畝)

春泥や父として通る面映ゆし
(清水基吉)

春泥やひかりつゝ来てたゞの貌
(清水基吉)

春泥や屏風かついで高足駄
(飯田蛇笏)

春泥やみち行く人を蔀より
(原石鼎)

春泥や夕刊飛んで地に落ちず
(前田普羅)

春泥をいゆきて人を訪はざりき
(三橋鷹女)

春泥を来てこの安く豊かなめし
(平畑静塔)

春泥を心覚えや闇を行く
(西山泊雲)

春泥を避け行く月の雲白し
(右城暮石)

春泥をとばし車輪の空廻り
(清崎敏郎)

春泥を飛びこえとびこえ南禅寺
(草間時彦)

春泥をぶつぶつ云ひつ脱しけり
(高澤良一)

春泥を踏みしと覚ゆ径の闇
(高浜年尾)

春泥を踏みゆく若き人ばかり
(内藤吐天)

春泥をゆく声のして茜さす
(臼田亞浪)

春泥をわたるあひるのごとき靴
(山口青邨)

近道をしてゐるつもり春泥に
(稲畑汀子)

 


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春の泥

 


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