竹 馬
【鑑 賞】 暗くなり子等は竹馬なほ下りず
大正末から昭和末にかけての俳人・山口波津女(やまぐち はつじょ)の俳句作品。
いつまでも遊び続けたい子供の気持ちが伝わってくる句。
以下、季語「竹馬」の解説です。
【表 記】
(漢字) 竹馬
(ひらがな) たけうま
(ローマ字) takeuma
【季 節】
冬
【分 類】
人事
【意味・説明】
現代では、1メートルから2メートルほどの二本の竹の、節の所に足が乗るように台木を結び付けて、その上に乗って歩く遊具を「竹馬」と呼びますが、この名前を「鷺足」とする江戸時代の文献もあります。
また、文献によっては、枝葉がついた竹を馬に見立てて、縄の手綱(たづな)をつけて跨って走るものを「竹馬」としているものもあります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
忌籠の家の竹馬見えてをり
(波多野爽波)
元日まで竹馬は地に置かざりき
(加藤秋邨)
獄出でて子の竹馬に低くをり
(秋元不死男)
集金や竹馬の子が蹤いて来る
(皆川白陀)
竹馬が知る界隈の土の触
(上田五千石)
竹馬が近寄り塀が背伸びする
(内藤吐天)
竹馬でげんげの畦を歩きをり
(高木晴子)
竹馬に唐児友呼ぶ柳かな
(正岡子規)
竹馬に如月の畦崩れけり
(阿波野青畝)
竹馬に仕上げて青し悴みぬ
(永井龍男)
竹馬に土まだつかず匂ふなり
(林翔)
竹馬に乗つて行かうかこの先は
(飯島晴子)
竹馬にのぼりて忘る総理の名
(宇多喜代子)
竹馬に乗り倒れしてふるさとよ
(桑原三郎)
竹馬に乗りて男に負けてゐず
(藤松遊子)
竹馬に一人遊ぶ子雪の家
(島村元)
竹馬の青きにほひを子等知れる
(中村草田男)
竹馬の影近づきし障子かな
(松本たかし)
竹馬のかけぬけて行く師走かな
(小澤碧童)
竹馬の怪我なかりける落馬かな
(阿波野青畝)
竹馬の桁ゆるびけり冬ぬくく
(永井龍男)
竹馬の子が折り廻る氷柱かな
(石島雉子郎)
竹馬の子ぞひそみをり長命寺
(八木林之助)
竹馬の子のおじぎしてころびけり
(星野立子)
竹馬の高からざりし記憶かな
(相生垣瓜人)
竹馬の立てかけてある墓籬
(波多野爽波)
竹馬の手綱ともがなつるいちご
(服部嵐雪)
竹馬の躓きしもの見ず倒る
(右城暮石)
竹馬の二本の脚が駆け回る
(阿波野青畝)
竹馬の羽織かむつてかけりけり
(原石鼎)
竹馬の前向き姿勢背後もろし
(右城暮石)
竹馬のめり込む砂地にて遊ぶ
(山口波津女)
竹馬の雪蹴散らして上手かな
(星野立子)
竹馬の別るゝ声のしてゆふべ
(清原枴童)
竹馬は子猿の藝や猿まはし
(正岡子規)
竹馬やいろはにほへとちり~に
(久保田万太郎)
竹馬や技癢そゞろぐ女の童
(日野草城)
竹馬やこんにやく島と俗によび
(龍岡晋)
竹馬や少年透谷在校碑
(清水基吉)
竹馬や落馬将軍伝太郎
(日野草城)
竹馬を今はかつぎて母のもと
(中村汀女)
竹馬を御す手胸辺にやすみなし
(橋本多佳子)
竹馬をよけて通るや猿まはし
(高浜虚子)
裸木に竹馬の世の茜空
(飯田龍太)
筆投げて児の竹馬に乗りてみる
(文挟夫佐恵)
舟の子の竹馬かつぎ上り来し
(米沢吾亦紅)
塀にもたれ竹馬の子に愁あリ
(福田蓼汀)
溝またぎ竹馬の道はじまりぬ
(上田五千石)
休み場のなし竹馬を高くして
(右城暮石)
雪の夜は竹馬の跡に我つれよ
(八十村路通)
横町を竹馬が来て二月来て
(松山足羽)
わが竹馬ひくきを母になげきけり
(大野林火)
【関連季語・子季語】
高足 鷺足(さぎあし)
【他の季語を探す】
◇ 春の季語
◇ 夏の季語
◇ 秋の季語
◇ 冬の季語
◇ 新年の季語
◆ 五十音で探す