七 夕
【鑑 賞】七夕や涼しき上に湯につかる
江戸時代後期の俳人・小林一茶(こばやしいっさ)の作品。
旧暦と新暦の違いが感じられる句。
以下、季語「七夕」の解説です。
【表 記】
(漢字) 七夕
(ひらがな) たなばた
(ローマ字) tanabata
【季 節】
秋
【分 類】
人事
【意味・説明】
一年に一度、七月七日の夜に牽牛と織姫が天の川で会うという伝説があり、この日を七夕と称します。
There is a legend that Kengyu and Orihime meet on the Milky Way once a year on the night of July 7th, and this day is called Tanabata.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
秋近し七夕恋ふる小傾城
(正岡子規)
あらをかし七夕竹に小提灯
(尾崎迷堂)
石の上七夕の蝶けむりをり
(加藤楸邨)
一枚の紙に七夕笹しなふ
(後藤夜半)
妹に七夕星を教へけり
(正岡子規)
うち立てて七夕色紙散るもあり
(高橋淡路女)
うれしさや七夕竹の中を行く
(正岡子規)
女老い七夕竹に結ぶうた
(三橋鷹女)
女の子七夕竹をうち担ぎ
(高野素十)
これやこの七夕竹として生ず
(高澤良一)
ころがりて七夕竹の流れくる
(野村泊月)
七夕に契り置きてし初桜
(上島鬼貫)
七夕の逢はぬ心や雨中天
(松尾芭蕉)
七夕の踊りになるや市の跡
(岩田涼莵)
七夕の風吹く岸の深みどり
(飯田龍太)
七夕の子の前髪を切りそろふ
(大野林火)
七夕の竹かつぎ入る御門かな
(野村泊月)
七夕の竹の穂見ゆる翠微かな
(鈴木花蓑)
七夕の竹早々と若き寡婦
(阿部みどり女)
七夕の晩は仙台おもしろき
(京極杞陽)
七夕の一粒の雨ふりにけり
(山口青邨)
七夕の願ひの糸の長からず
(稲畑汀子)
七夕の人波にゐてふとひとり
(阿部みどり女)
七夕の街に求めし星の本
(上村占魚)
七夕のみな冷え冷えと供物かな
(飯田蛇笏)
七夕の身は狂壽のごとく在り
(佐藤鬼房)
七夕の夜はかりそめの踊かな
(井上井月)
七夕や白粉にほふ野べの霧
(松瀬青々)
七夕や男の髪も漆黒に
(中村草田男)
七夕や暗がりで結ふたばね髪
(村上鬼城)
七夕や風にひかりて男袖
(永田耕衣)
七夕や髪に結ひこむ藤袴
(富田木歩)
七夕や心もとなき朝ぐもり
(高橋淡路女)
七夕や子供相手の小商ひ
(吉武月二郎)
七夕や些少ながらの祝儀樽
(小林一茶)
七夕や手休み妻を夕写真
(中村草田男)
七夕や天皇の御名を書しまつる
(山口誓子)
七夕や昼あをあをと湯屋の澄み
(秋元不死男)
七夕や筆の穂なめし脣の墨
(高橋淡路女)
七夕やまだ指折つて句をつくる
(秋元不死男)
七夕を押し返す風ありにけり
(阿部みどり女)
遠き灯の七夕竹に灯りけり
(阿部みどり女)
遠里や七夕竹に虹かゝる
(泉鏡花)
流したる七夕竹やたはれ波
(阿部みどり女)
寝てさめて七夕の夜の雨の音
(上村占魚)
母が切る七夕竹の小さけれ
(高浜虚子)
穂ぞ見ゆる七夕竹や槇の垣
(尾崎迷堂)
まだ書かぬ七夕色紙重ねあり
(高浜虚子)
持ちいでし七夕竹の立てどころ
(高橋淡路女)
横たへし七夕竹に古畳
(高橋淡路女)
【関連季語・子季語】
星祭 星合 星迎 星の夜
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