冬 至
【鑑 賞】 さむざむと日輪あそぶ冬至かな
明治中期から昭和中期にかけての俳人・飯田蛇笏(いいだだこつ)の作品。
冬至の頃の厳しい寒さが伝わってくる句。
日輪(にちりん)とは、太陽のことをいい、月の場合は月輪(がちりん)といいます。
以下、季語「冬至」の解説です。
【表 記】
(漢字) 冬至
(ひらがな) とうじ
(ローマ字) toji
【季 節】
冬
【分 類】
時候
【意味・説明】
冬至は、二十四節気(にじゅうしせっき)の一つです。
北半球では、一年のうちで一番昼の時間が短くなるのが冬至の日です。
冬至の風習には、冬至粥、冬至かぼちゃ、柚子湯などがあります。
Toji(winter solstice) is one of “nijushi-sekki(24 divisions of the solar year)”
In the Northern Hemisphere, it is a day of Toji that the time of daytime becomes short most among one year.
Toji has a custom of toji-gayu(rice gruel),toji-kabocha(pumpkin) and yuzu-yu(bathwater with yuzu citron).
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
明くるより暮れ急ぎをる冬至かな
(相生垣瓜人)
あやまたず沈む冬至の日を見たり
(後藤夜半)
いそがしき冬至の妻のうしろ影
(日野草城)
一輪を加へて二輪冬至梅
(富安風生)
鶯のうしろ影見し冬至かな
(高井凡菫)
美しき竃を見たる冬至かな
(百合山羽公)
梅の枝の冬至の鳩もすぐ去んぬ
(石田波郷)
おづおづと夕日沈める冬至かな
(鈴木真砂女)
万年青の実赤しと思ふ冬至かな
(山口青邨)
風邪の子に忙しく暮れし冬至かな
(高野素汁)
風日々に冬至となりし日の黄なり
(臼田亞浪)
くらがりに茶の匂ひ立つ冬至かな
(日野草城)
けふ冬至餘生こたびはいかならむ
(水原秋桜子)
小走りに妻の出て行く冬至かな
(日野草城)
十能の火の赫々と冬至かな
(阿波野青畝)
新右衛門蛇足を誘ふ冬至哉
(与謝蕪村)
早発の六時は暗し冬至かな
(稲畑汀子)
地の下に雷を感ずる冬至かな
(松瀬青々)
天文の博士ほのめりく冬至かな
(黒柳召波)
冬至けふ息安かれと祈るかな
(石田波郷)
冬至には多くの雲と田を見たり
(相生垣瓜人)
冬至の日縞あるごとくゆれにけり
(阿波野青畝)
冬至の日しみじみ親し膝に来る
(富安風生)
冬至より来たるもいまだ雪の空
(立花北枝)
何か言ふ冬至の鵙も消えにけり
(百合山羽公)
波の上に遠き日を置く冬至かな
(桂信子)
日本の冬至も梅の咲きにけり
(小林一茶)
母在りき冬至もつとも輝きて
(三橋鷹女)
人去つて冬至の夕日樹に煙り
(桂信子)
風雲の少しく遊ぶ冬至かな
(石田波郷)
佛壇に水仙活けし冬至哉
(正岡子規)
仏壇の菓子うつくしき冬至かな
(正岡子規)
へつつひに冬至の柚子がのつてをる
(富安風生)
味噌の樽ころがり着ける冬至かな
(長谷川かな女)
物干の影に測りし冬至哉
(正岡子規)
【関連季語・子季語】
冬至粥
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