蝉の抜け殻

空 蝉

 

【鑑 賞】空蝉の威をくづさずにあはれなり

大正前期から昭和後期にかけての俳人・阿部みどり女(あべみどりじょ)の作品。

空蝉から受ける切ないような心境が感じられる句。

 

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以下、季語「空蝉」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 空蝉

(ひらがな) うつせみ

(ローマ字) utsusemi

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


空蝉とは、蝉の抜け殻のことをいいます。


Utsusemi means the shell of a cicada.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

岩に爪たてて空蝉泥まみれ
(西東三鬼)

空蝉に跼みても御墓ひくかりき
(能村登四郎)

空蝉にかき附かれたる寂しさよ
(永田耕衣)

空蝉にひとしき人生吹けばとぶ
(阿部みどり女)

空蝉に水のやうなる風が吹く
(阿部みどり女)

空蝉の脚のつめたきこのさみしさ
(成田千空)

空蝉の雨ため草にころげけり
(阿部みどり女)

空蝉の生きて歩きぬ誰も知らず
(三橋鷹女)

空蝉の温泉窓に遠く午下り
(飯田蛇笏)

空蝉のかけらも入るらむ長寿薬
(高澤良一)

空蝉のすこしよぢれてをりにけり
(京極杞陽)

空蝉の爪のなかなか縋るなる
(富安風生)

空蝉の一太刀浴びし背中かな
(野見山朱鳥)

空蝉のふんばつて居て壊れけり
(前田普羅)

空蝉のもはらに青き萩このむ
(篠田悌二郎)

空蝉も蝉も入れられ一つ籠
(高澤良一)

空蝉や草のそよぎを落むとす
(野村喜舟)

空蝉や背割れ八月十五日
(河野南畦)

空蝉やひるがへる葉にとりついて
(高野素十)

空蝉をおしろい匂ふ抽斗に
(波多野爽波)

空蝉を風の中にていつくしむ
(山口誓子)

空蝉を子が拾ふ手の女なる
(後藤夜半)

空蝉を林のみちに拾ひけり
(高橋淡路女)

空蝉をひろふ流人の墓ほとり
(大野林火)

女の手に空蝉くだけゆきにけり
(西東三鬼)

冗談に空蝉個個に歩きけり
(永田耕衣)

ずぶ濡れの空蝉一つ見つけけり
(高澤良一)

地上一尺に空蝉幽かなり
(百合山羽公)

母の忌の空蝉を母と思ひ初めし
(中村苑子)

拾ひたる空蝉指にすがりつく
(橋本多佳子)

 


【関連季語・子季語】


蝉の殻

 


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