渡り鳥の群

渡り鳥

 

【鑑 賞】音のなき一空間や渡り鳥

昭和時代から平成初期にかけての俳人・加藤秋邨(かとうしゅうそん)の作品。

静寂な光景が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「渡り鳥」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 渡り鳥

(ひらがな) わたりどり

(ローマ字) wataridori

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


「渡り鳥」は、秋になって北方から渡ってくる様々な鳥の総称です。

また、「小鳥来る」ということもあります。


“Wataridori” is a general term for various birds that migrate from the north in autumn.

It is also called “kotorikuru”.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

朝あらしあたまの上を渡り鳥
(向井去来)

あそこへは交り爰へは渡り鳥
(岩田凉菟)

今まではどこに有てや渡り鳥
(下郷亀世)

牛積んだ船の上より渡り鳥
(正岡子規)

烏羽玉や夜半の嵐の渡り鳥
(正岡子規)

崩れては返し寄せては渡り鳥
(正岡子規)

草臥や我足遲き渡り鳥
(正岡子規)

雲に帰れば流るるばかり渡り鳥
(平井照敏)

軍艦の帆檣高し渡り鳥
(正岡子規)

今朝どこを立て夕日の渡り鳥
(正岡子規)

下馬しばし長刀なりの渡り鳥
(服部土芳)

玄海やデツキに落ちし渡り鳥
(加藤秋邨)

声のあとなる闇が揺れゆく渡り鳥
(加藤秋邨)

小嶋から陸へ五町の渡り鳥
(正岡子規)

異なるもつれてむつまじ渡り鳥
(三宅嘯山)

この瀬埋めて彼の山開く渡り鳥
(河東碧梧桐)

駒糶りの物のきほひや渡り鳥
(河東碧梧桐)

師の旅に蹤くはかなはず渡り鳥
(上田五千石)

柴売に連てや市の渡り鳥
(各務支考)

嶋は秋しぐれやすさよ渡り鳥
(飯田蛇笏)

遙遥やいそげば急ぐ渡り鳥
(加藤秋邨)

菅笠の羽根も休めず渡り鳥
(中川乙由)

電線に椋鳥その上を渡り鳥
(森澄雄)

野の果の灘も相模や渡り鳥
(三橋敏雄)

ひたすらにそなたと許り渡り鳥
(正岡子規)

一むれは大島さして渡り鳥
(正岡子規)

日は西に雨の木ずゑや渡り鳥
(志太野坡)

昼の湯にふぐりをさらす渡り鳥
(古舘曹人)

吹いきの見ゆる時分や渡り鳥
(垂葉堂游刀)

船の灯を目當に闇の渡り鳥
(正岡子規)

まぐはひの女めつぶる渡り鳥
(加藤秋邨)

老婆とまりて腰のばすとき渡り鳥
(平井照敏)

わが息のわが身に通ひ渡り鳥
(飯田龍太)

わたつみのなみのつかれよ渡り鳥
(三橋敏雄)

渡り鳥赤城も見ゆる雲間より
(水原秋櫻子)

渡り鳥いまも人焼くための島
(鷹羽狩行)

渡り鳥上衣つくづく古びたり
(橋閒石)

渡り鳥小田原城に梨食へば
(石塚友二)

渡り鳥がうがうと風明るくて
(加藤秋邨)

渡り鳥木の天守には木の手摺
(百合山羽公)

渡り鳥壺中にすはれゆくごとし
(上田五千石)

渡り鳥しみじみと仰ぐ古本売
(大野林火)

渡り鳥乳房持つもの瀬に仰ぎ
(加藤秋邨)

渡り鳥鳴は古郷の咄かや
(内藤丈草)

渡り鳥西日明りの瀬に憩ふ
(松村蒼石)

渡り鳥のあはれを櫟林にて
(細見綾子)

渡り鳥の一点先翔く愛と業
(中村草田男)

渡り鳥ひろがり降りて五樹の縁
(中村草田男)

渡り鳥富士の蒼旻新たなり
(村山故郷)

渡り鳥微塵のごとしオホーツク
(大野林火)

 


【関連季語・子季語】


鳥渡る  小鳥来る  鳥雲

 


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