春 風
【鑑 賞】春風や牛に引かれて善光寺
江戸時代後期の俳人・小林一茶(こばやしいっさ)の作品。
何とも長閑な春の光景が思い浮かんでくる句。
以下、季語「春風」の解説です。
【表 記】
(漢字) 春風
(ひらがな) はるかぜ
(ローマ字) harukaze
【季 節】
春
【分 類】
天文
【意味・説明】
「春風」は、暖かくて穏やかな趣きを持った季語です。
“Harukaze” is a season word with a warm and gentle flavor.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
家あり一つ春風春水の真中に
(夏目漱石)
効く薬あり春風に面吹かれ
(村越化石)
基地春風頸を平らに猫が咳く
(田川飛旅子)
写真機を据え春風の渡月橋
(高濱年尾)
星条旗春風に見るニユーヨーク
(高木晴子)
春風という肉体の行きずりぞ
(永田耕衣)
春風に阿闍梨の笠の匂かな
(与謝蕪村)
春風に重く置きけり墓の蓋
(長谷川かな女)
春風に暮れて人冷ゆ大伽藍
(原石鼎)
春風にさかふて濁る野川哉
(松岡青蘿)
春風に尻を吹るゝ屋根屋哉
(小林一茶)
春風に駝鳥の耳はありとのみ
(五十嵐播水)
春風につい置きしほどの寺門かな
(細見綾子)
春風にてらすや騎射の綾藺笠
(炭太祇)
春風に煮崩れている遠海魚
(坪内稔典)
春風にのべふすいろや淡路島
(松岡青蘿)
春風に母死ぬ龍角散が散り
(坪内稔典)
春風に吹かれ心地や温泉の戻り
(夏目漱石)
春風にふき出されけり水の胡蘆
(向井去来)
春風にポプラは芽ぶくこと遅し
(高木晴子)
春風に待つ間程なき白帆哉
(井上井月)
春風の裏返し吹く忘れ物
(岸田稚魚)
春風の心を人に頒たばや
(高浜虚子)
春風のこそつかせけり炭俵
(高井几董)
春風のそこ意地寒ししなの山
(小林一茶)
春風の扉ひらけば南無阿弥陀仏
(種田山頭火)
春風の頬にくつ附くは酷ならむ
(永田耕衣)
春風も静かな夜半をまどひ年
(広瀬惟然)
春風や東下りの角力取
(小林一茶)
春風や筏なかなかまとまらず
(永井龍男)
春風や犬の寝聳るわたし舟
(小林一茶)
春風や牛売りありく京の町
(正岡子規)
春風や海は海苔取蚫取
(正岡子規)
春風や大江戸に入る懐手
(会津八一)
春風や女も越る箱根山
(小林一茶)
春風や紙を貼られし籠の底
(野村喜舟)
春風やからりとかはく流し元
(小林一茶)
春風や川波高く道をひたし
(内田百間)
春風や屑物市に糸車
(高橋淡路女)
春風や桜もちらぬ能登の海
(松瀬青々)
春風やすぐつかまりし小盗人
(福田蓼汀)
春風や芒は穂絮皆飛ばし
(高濱年尾)
春風や揃へる鯛にかけめぐり
(野村喜舟)
春風や但馬守は二等兵
(京極杞陽)
春風や旅としもなく京に来て
(原石鼎)
春風や玉乗の子の吹かれ皃
(会津八一)
春風やつうい~と附木舟
(鈴木花蓑)
春風や天上の人我を招く
(正岡子規)
春風や根岸の寮に女客
(正岡子規)
春風や八文芝居だんご茶や
(小林一茶)
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