立 秋
【鑑 賞】立秋の夜気好もしく出かけけり
大正時代から昭和後期にかけての俳人(高浜虚子の長男)・高浜年尾(たかはまとしお)の作品。
日中の暑さから解放された嬉しさが感じられる句。
以下、季語「立秋」の解説です。
【表 記】
(漢字) 立秋
(ひらがな) りっしゅう
(ローマ字) rissyu
【季 節】
秋
【分 類】
時候
【意味・説明】
立秋とは、一年を24等分したものに季節の名前を付けた二十四節気の一つです。
立秋の日付は毎年 8月7日頃となります。
8/7 ~ 8/22頃の期間を「立秋」ということもあります。
Risshu is one of the twenty-four solar terms, which divides the year into 24 equal parts and names the seasons.
The date of risshu is around August 7th every year.
The period from 8/ 7 to 8/22 is sometimes called risshu.
【例 句】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
あさましく秋立つ卓の薔薇かな
(会津八一)
うぐひすや翌立秋の嶽の雲
(渡辺水巴)
川半ばまで立秋の山の影
(桂信子)
堂守に立秋の湯のたぎりをり
(大峯あきら)
煮ざかなに立秋の箸なまぐさき
(日野草城)
渺茫たる立秋の天へ雲脂とばす
(加藤秋邨)
返信に立秋の水白しとのみ
(橋閒石)
みんみん蝉立秋吟じいでにけり
(水原秋桜子)
桃の葉を分けて雀の翔つ立秋
(長谷川かな女)
立秋と云はれて空の海のいろ
(高澤良一)
立秋と云へり浮説に似たらむか
(相生垣瓜人)
立秋と聞いて忘るる一と日かな
(稲畑汀子)
立秋に寄する烏の声の如
(相生垣瓜人)
立秋の雨に青杉ぬれて照る
(上村占魚)
立秋の雨はや一過朝鏡
(中村汀女)
立秋のあるがままなる籐椅子かな
(中村汀女)
立秋の鏡の中の次の部屋
(辻田克巳)
立秋の草のするどきみどりかな
(鷲谷七菜子)
立秋の雲の動きのなつかしき
(高浜虚子)
立秋の声を聞かずに行きたまふ
(細見綾子)
立秋の好もしや月望なれば
(高浜年尾)
立秋の紺落ち付くや伊予絣
(夏目漱石)
立秋の白波に逢ひ松に逢ひ
(阿部みどり女)
立秋の第三日目の秋の風
(高野素十)
立秋の廂みせたる杣家かな
(飯田蛇笏)
立秋の日除ふかぶかおろしけり
(鈴木真砂女)
立秋のみづうみに入る滝しぶき
(飯田龍太)
立秋はきのふや比叡の今朝の雪
(村山故郷)
立秋や汗ばみて鰹だく男
(萩原麦草)
立秋や銀の茶釜の市に出る
(寺田寅彦)
立秋や雲の上ゆく雲とほく
(鈴木真砂女)
立秋や涼しかれとて灯も置ず
(成田蒼虬)
立秋や何かを思ひ立たねばと
(桂信子)
立秋や納戸に捜る葛根湯
(寺田寅彦)
立秋や腹ととのふる吉野葛
(水原秋桜子)
立秋をきのふの日ざし帚木に
(亀井糸游)
【関連季語・子季語】
秋立つ 秋来る 秋分
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