花びらから滴る雨のしずく

梅 雨

 

【鑑 賞】梅雨淋し障子の外を烏とぶ

明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の作品。

梅雨の時期に特有な雰囲気が感じられる句。

 

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以下、季語「梅雨」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 梅雨

(ひらがな) つゆ、ばいう

(ローマ字) tsuyu


季 節


 


【分 類】


天文、時候

 


【意味・説明】


梅雨とは、旧暦の五月頃に約一ヶ月にわたって降る雨のことをいいます。


Tsuyu refers to the rain that falls for about a month around May of the lunar calendar.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

足もとに梅雨の山湖のなぎさ澄む
(皆吉爽雨)

幾たびも梅雨の焚火の燃え上がり
(右城暮石)

一瞬の梅雨ひぐらしや遠く疾く
(及川貞)

鉛筆を噛めば木の香や梅雨長し
(中村苑子)

桜桃のこの美しきもの梅雨の夜に
(森澄雄)

大島と久に相見て梅雨晴れぬ
(松本たかし)

奥能登や浦々かけた梅雨の滝
(前田普羅)

おだまきの花をま中の梅雨あかり
(石川桂郎)

跼みても影なし梅雨の残り潮
(皆川白陀)

傾きて太し梅雨の手水鉢
(高浜虚子)

かなしみの八つ當り梅雨憎みけり
(上村占魚)

鐘撞いて僧が傘さす送り梅雨
(森澄雄)

かみそりのやうな風来る梅雨晴間
(星野立子)

亀の子も迷ひ来れり梅雨の宿
(山口青邨)

樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ
(日野草城)

草の戸の開きしまゝなる梅雨かな
(高浜虚子)

桑剪るや梅雨一望の沼景色
(水原秋桜子)

夏至もまた梅雨の隠微に倣ふなり
(相生垣瓜人)

鯉こくや梅雨の傘立あふれたり
(石川桂郎)

苔にしむ真青な梅雨の降りやまず
(阿部みどり女)

腰湯して気遠くなりぬ梅雨の底
(大野林火)

咲き満つる葵の花や梅雨に入る
(正岡子規)

さつぱりと梅雨の厨の乾きをる
(阿部みどり女)

下町の十方音や梅雨晴間
(石塚友二)

しとどなる梅雨萩それに梅雨桔梗
(後藤夜半)

正直に梅雨雷の一つかな
(小林一茶)

死を悼むその夜の梅雨の紅拭ふ
(鈴木真砂女)

田の上を小舟行くなり梅雨出水
(青木月斗)

旅衣じめと筍梅雨にあり
(青木月斗)

妻とあればいづこも家郷梅雨青し
(山口誓子)

妻にのみ憤りをり返り梅雨
(石田波郷)

梅雨あがるすぐに揃ひしごとき蝶
(及川貞)

梅雨あけの雷ぞときけり喪の妻は
(石田波郷)

梅雨荒れの俄か流れや牧のみち
(及川貞)

梅雨霧を見てゐていつか包まるる
(稲畑汀子)

梅雨くらく真菰を打ちて風走る
(水原秋桜子)

梅雨籠りあうむにこゑを奪はるる
(高澤良一)

梅雨寒したまにぐつすり寝て見たし
(菖蒲あや)

梅雨じめりせし旅衣又まとふ
(中村汀子)

梅雨近く梅雨にあらざる雨降れる
(相生垣瓜人)

梅雨どきの何處を見据えて金魚の目
(高澤良一)

梅雨どきの眼ごろごろ使ひ過ぎ
(高澤良一)

梅雨長し性典女優という語知る
(田川飛旅子)

梅雨に入る椎の木陰の葵哉
(正岡子規)

梅雨の海静かに岩をぬらしけり
(前田普羅)

梅雨の沖寒し雨具に女透く
(秋元不死男)

梅雨の傘さして経上ぐ高野僧
(右城暮石)

梅雨のけふ田植ゑてみどり深くする
(森澄雄)

梅雨の月狐の仕業かも知れず
(稲畑汀子)

梅雨の月入笠山に見て赤し
(相馬遷子)

梅雨の月光をましぬ瑠璃光院
(山口青邨)

梅雨の日に片目を閉ぢて担送車
(阿部みどり女)

梅雨の本ブックエンドに挟まれて
(高澤良一)

梅雨の夜の金の折鶴父に呉れよ
(中村草田男)

梅雨はげし傘ぶるぶるとうち震ひ
(波多野爽波)

梅雨はげし右も左も寝てしまふ
(石田波郷)

梅雨は降り梅雨は晴るるといふことを
(後藤夜半)

梅雨晴れて一度に生れ糸とんぼ
(稲畑汀子)

梅雨晴に加はる星の夥し
(相生垣瓜人)

梅雨晴の夕茜してすぐ消えし
(高浜虚子)

梅雨晴れず祭の花火天に爆ぜ
(相馬遷子)

梅雨晴れや手枕の骨鳴るままに
(横光利一)

梅雨深き真珠の潮に潮仏
(木村蕪城)

梅雨ふかし黍たうきびとたけ競ふ
(篠田悌二郎)

梅雨深かむ空を抜け得ず船の笛
(河野南畦)

梅雨見つめをればうしろに妻の立つ
(大野林火)

梅雨むぐら動く夜陰を愉しめり
(岸田稚魚)

梅雨めくや心に旅は思ふのみ
(相馬遷子)

梅雨めくや人にまさをき旅路あり
(相馬遷子)

梅雨夜道ゆくて垣なす黒きは山
(上村占魚)

徒然に十薬引けば梅雨近む
(高澤良一)

徒然に梅雨の抽斗開けてみぬ
(高澤良一)

灯るごと梅雨の郭公鳴き出だす
(石田波郷)

長梅雨もわすれて青きいなびかり
(百合山羽公)

日光の梅雨にぐつすり眠り猫
(右城暮石)

鋸屑が頭に詰まり梅雨の日々
(富安風生)

ばり~と干傘たゝみ梅雨の果
(原石鼎)

春の月ありしところに梅雨の月
(高野素十)

ひそかなる恋そのままに梅雨に入る
(桂信子)

飛騨の子の花いちもんめ梅雨晴間
(松崎鉄之介)

 


【関連季語・子季語】


五月雨

 


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