瑠璃院の美しい新緑の風景

 万 緑

 

【鑑 賞】万緑の中や吾子の歯生え初むる

昭和時代の俳人・中村草田男(なかむらくさたお)の作品。

「万緑」と聞けば誰もが思い浮かべるであろう有名な句。

 

スポンサーリンク

 

 

以下、季語「万緑」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 万緑

(ひらがな) ばんりょく

(ローマ字) banryoku

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


万緑とは、一面が木々の緑で満たされている情景をいいます。


Banryoku means a scene where the entire surface is filled with green trees.

スポンサーリンク

 


【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

いまは万緑山中で子を拵へ
(山口誓子)

回遊の吾に万緑蹤き来たる
(山口誓子)

かぎはづし入る万緑の一つの扉
(橋本多佳子)

橋揺れてきて万緑の揺れはじむ
(古舘曹人)

祓い塩白し万緑おしひらき
(長谷川かな女)

万緑なすたたら遺蹟を秘めし村
(松崎鉄之介)

万緑に抱かれしより光る沼
(稲畑汀子)

万緑に磐を配す立石寺
(高澤良一)

万緑に沈む夕日の朱を見たり
(福田蓼汀)

万緑に泰山木の花二つ
(日野草城)

万緑に吊橋動を経ては静
(山口誓子)

万緑にとべばましろき鳥ならむ
(平井照敏)

万緑になじむ風鈴夜も昼も
(飯田蛇笏)

万緑に藤豆の垂れわたりたる
(阿波野青畝)

万緑に朴また花を消すところ
(皆吉爽雨)

萬緑に見えざる雨の降りしきる
(相馬遷子)

万緑にラムネ奔騰させ若し
(鷹羽狩行)

万緑に吾が眼鏡澄み吾が非力
(楠本憲吉)

万緑の家に老婆が一人ゐし
(右城暮石)

万緑のいのちの繭のうすみどり
(平井照敏)

万緑の奥のつめたき水の音
(桐田蕗村)

万緑の神にましろき結文
(山口青邨)

万緑の湖畔はなべて幹倒れ
(皆吉爽雨)

万緑のしたたる谿に温泉あり
(上村占魚)

万緑の墨のごとしや海芋咲き
(山口青邨)

万緑の妻には残る虹の彩
(角川源義)

万緑の中さやさやと楓あり
(山口青邨)

万緑の中の一点美術館
(橋本榮治)

万緑の中やこぼるゝ麦の飯
(萩原麦草)

万緑の中より思ひ出しをり
(加藤秋邨)

万緑の万物の中大仏
(高浜虚子)

万緑の一葉を毟り取りにけり
(行方克巳)

萬緑のまつしぐらなり尼の肘
(石田波郷)

万緑の吉野両断吉野川
(右城暮石)

万緑は甲斐の峠に他ならず
(萩原麦草)

萬緑は過ぎ来し方も押しつつむ
(石田波郷)

万緑やおどろきやすき仔鹿ゐて
(橋本多佳子)

万緑や鏡の如く鷹舞へり
(野見山朱鳥)

万緑や木の根の湿り蹠に
(原裕)

万緑や狐狸の山浅く
(鈴木真砂女)

万緑や青年耶馬の陶に生く
(阿部みどり女)

万緑や外から見れば暗き團居
(香西照雄)

万緑やどこまでいつても千曲川
(鈴木真砂女)

万緑や火の山の火の匂ふ道
(上村占魚)

万緑や伏せ甕の罅地にとどく
(内藤吐天)

萬緑や山下るごと階下り
(石田波郷)

万緑を顧るべし山毛欅峠
(石田波郷)

万緑を知らず足尾はいつも枯
(平畑静塔)

万緑を深くぞえぐる谷と谷
(阿波野青畝)

わが庭の万緑の中玉虫落つ
(山口青邨)

 


【関連季語・子季語】


緑さす  新緑

 


【他の季語を探す】


春の季語

夏の季語

秋の季語

冬の季語

新年の季語

五十音で探す

 

スポンサーリンク