鮮やかな緑色の葉

緑さす

 

【鑑 賞】もめん縫ふひとつ窓より緑さす

昭和後期から平成前期にかけてのの作家・俳人である井上雪(いのうえゆき)の作品。

鮮やかな緑の色が目に浮かぶような句。

 

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以下、季語「緑さす」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 緑さす

(ひらがな) みどりさす

(ローマ字) midorisasu

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


「緑さす」は、初夏における新樹の鮮やかな緑色を表現する季語です。

「新緑」と同趣向の言葉です。


“Midorisasu” is a season word that expresses the bright green color of new trees in early summer.

It is a word of the same savor as “shinryoku”.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

庵の蛇客には見えず緑さす
(百合山羽公)

享くる血のおもき点滴緑さす
(鷲谷七菜子)

思ふ事なき日の素顔緑さす
(古賀まり子)

鏡の間一面はただ緑さす
(林翔)

風入れてたたむ喪服に緑さす
(古賀まり子)

気骨の字走る久女碑緑さす
(林翔)

きはまりて連翹の黄は緑さす
(松村蒼石)

行水の肌に林泉緑さす
(野見山朱鳥)

鍬で切る堆肥切口緑さす
(大野林火)

自画像は描きかけのまま緑さす
(鷹羽狩行)

信仰に煤けし諸仏緑さす
(鷹羽狩行)

どの窓にも箱根万嶽緑さす
(村山古郷)

鳴かぬ龍ゐて天井に緑さす
(鷹羽狩行)

緑さす何時も祖母ゐし納戸前
(古賀まり子)

緑さす仰臥の夫の髭剃れば
(石田あき子)

緑さす厨を今も手離せず
(横山房子)

緑さす腰掛け茶屋の窓に鳥城
(村山古郷)

緑さす三鬼波郷の亡き後も
(小林康治)

緑さす書見器隠り夫睡れり
(石田あき子)

緑さす旅墓に逢ひ牛に遇ひ
(鷲谷七菜子)

緑さす智恵子の貼絵どこ狂ふ
(平畑静塔)

緑さす机の角に蚤殺す
(百合山羽公)

緑さす漬物桶にひざまづく
(野沢節子)

緑さす籐編み籠に籐の鳥
(高澤良一)

緑さすと聞けばかなしき五月来ぬ
(石野兌)

緑さす歳月古りし框かな
(石田波郷)

緑さす扉を少し開け祈りをり
(古賀まり子)

緑さすフアインダー裡を裸婦歩む
(岸田稚魚)

緑さす富貴寺の面取り柱かな
(高澤良一)

緑さす松や金欲し命欲し
(石橋秀野)

緑さす窓を雨滴の徒競走
(高澤良一)

緑さす未完の畫布の夫に會ふ
(石田あき子)

緑さすや鏡中のわが白髪も
(皆川白陀)

緑さすやからから熱き骨ひらふ
(皆川白陀)

緑さすや君と別るゝための黙
(小林康治)

 


【関連季語・子季語】


新緑  若葉  青葉

 


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