餅花と梅の枝

女正月

 

【鑑 賞】 あすなろの菜箸おろす女正月

昭和中期から平成前期にかけての俳人・飯島晴子(いいじまはるこ)の作品。

女性らしい女正月の捉え方が感じられる句。

この句と似た趣向が感じられる俳句作品は、同じ作者の次の句。

 大根葉の青さゆゆしき女正月

 

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以下、季語「女正月」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 女正月

(ひらがな) おんなしょうがつ、めしょうがつ

(ローマ字) onnashogatsu

 


季 節


 


【分 類】


時候

 


【意味・説明】


女正月とは 1月15日(小正月)のことで、「十五日正月(じゅうごにちしょうがつ)」ということもあります。

女正月という名前には、松の内にも忙しく働いていた主婦をねぎらう意味合いも含まれています。

地域によっては、この日に男性が女性に代わって料理などの家事を行います。

また、1月15日は「女正月」や「小正月」のほかに、「二番正月」「花正月」「返り正月」「戻り正月」「小年」「若年」と呼ばれることもあります。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

畦の雪だけは皆消え女正月
(能村登四郎)

石橋の荒き日影や女正月
(飯島晴子)

帯締めて貰ひしかたさ女正月
(阿部みどり女)

折鶴のなかに病む鶴女正月
(鷹羽狩行)

門川に菜屑あをあを女正月
(鍵和田秞子)

元日草女正月もはや過ぎし
(山口青邨)

玄関に日の差してゐる女正月
(宮津昭彦)

五指の爪玉の如くに女正月
(飯田蛇笏)

声高に襤褸もち出づる女正月
(角川源義)

芝居見に妻出してやる女正月
(志摩芳次郎)

鍋に火を入れて人待つ女正月
(古舘曹人)

人形の女正月草の庵
(後藤夜半)

能衣裳など見て暮れぬ女正月
(百合山羽公)

売薬の風船つけり女正月
(沢木欣一)

母入れて三姉妹なり女正月
(小松崎一郎)

肱ついて女正月遊びけり
(後藤夜半)

べんがら館女正月となりにけり
(村山故郷)

松の木に梯子が長し女正月
(藤田湘子)

水の上水の走れり女正月
(神蔵器)

箕の中に多賀のお多福女正月
(伊藤敬子)

女正月祝ひ引越はじまりぬ
(稲畑汀子)

女正月帰路をいそぎていそがずに
(柴田白葉女)

女正月口のおだやかな雑木山
(藤本安騎生)

女正月子を連れて且つみごもりて
(安住敦)

女正月皿をはみ出し海老の髭
(鈴木真砂女)

女正月少年のこゑありにけり
(岸田稚魚)

女正月つかまり立ちの子を見せに
(中野三允)

女正月ふぢいろのこの酔ひごころ
(熊谷愛子)

女正月眉間に鳥の影落つる
(飯島晴子)

女正月明治の古き藍微塵
(長谷川かな女)

女正月「忘れ残りの記」は寂か
(中尾壽美子)

女正月和服まとはぬこと久し
(横山房子)

女正月笑ひざうめく一間かな
(野尻羊我)

谷保を出て練馬を昼の女正月
(村上麓人)

横顔のカメオを胸に女正月
(加藤三七子)

吉野葛椀に透きゆく女正月
(野見山ひふみ)

露天湯へ篁撓む女正月
(徳永野歩女)

 


【関連季語・子季語】


小正月  十五日正月  旧正月

 


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