一 月
【鑑 賞】一月の雪晴れ金魚売通る
昭和時代の俳人・高浜年尾(たかはまとしお)の作品。
「雪晴れ」と「金魚売」の組合せに妙を感じる句。
以下、季語「一月」の解説です。
【表 記】
(漢字) 一月
(ひらがな) いちがつ
(ローマ字) ichigatsu
【季 節】
新年
【分 類】
時候
【意味・説明】
旧暦の場合、一月の異称は睦月です。
In the case of the lunar calendar, another name for January is Mutsuki.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
赤き実を咥へ一月の鳥日和
(阿部みどり女)
一月となりけり雪も降りにけり
(正岡子規)
一月の甘納豆はやせてます
(坪内稔典)
一月のうす日さしくる障子かな
(久保田万太郎)
一月の扇びらきに寺の樹々
(長谷川双魚)
一月の音にはたらく青箒
(能村登四郎)
一月の翳をつぶさに人あるく
(長谷川双魚)
一月の火事いきいきと風下へ
(三橋敏雄)
一月の風に飛び散る雨の粒
(高澤良一)
一月の川一月の谷の中
(飯田龍太)
一月の汐鳴りさすが鞆の浦
(鈴鹿野風呂)
一月の空見て椿油かな
(岡井省二)
一月の滝いんいんと白馬飼ふ
(飯田龍太)
一月の旅に親しき筑紫の温泉
(稲畑汀子)
一月の土明りして人住めり
(長谷川双魚)
一月の日差しに泛けり骨ぼこり
(辻桃子)
一月のひとの往来に村古るぶ
(長谷川双魚)
一月の孤りごころの雲ぞ能き
(高澤良一)
一月や穴を一一見る勿れ
(永田耕衣)
一月や火事いきいきと風下ヘ
(三橋敏雄)
一月や去年の日記なほ机辺
(高浜虚子)
一月や蜆の水に刃もの刺す
(篠田悌二郎)
一月や正座して見る杉の位置
(能村登四郎)
一月やはしらわさびも煮こゞりも
(久保田万太郎)
一月や藪も畠も日の濡れに
(上田五千石)
一月や老母の死苦の愛語なす
(永田耕衣)
一月を丸めて抛る水の上
(桂信子)
郊外に出て一月の風の富士
(高澤良一)
砂踏めば一月ぬくし蟹の爪
(秋元不死男)
ろうかんや一月沼の横たはり
(石田波郷)
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