初雪が積もった木立と青空

初 雪

 

【鑑 賞】 初雪や一二三四五六人

江戸時代後期の俳人・小林一茶(こばやしいっさ)の俳句作品。

「一二三四五六人」という表現が、何とも楽しい雰囲気を生み出している句。


「一二三四五六人」の読み方については、次のようないくつかの説があります。

  • いちにさんしごろくにん
  • いちにさんしごろくひと(びと)
  • ひいふうみいよいつむたり

このような数字(数詞)を詠み込んだ俳句には、久保田万太郎(くぼたまんたろう)の

一句二句三句四句五句枯野の句

というものがあります。

さらに、角田竹冷(つのだちくれい)は

一二三四五六七八桜貝

加藤郁乎(かとういくや)は

年立つや一二三四五六七

という句を残しています。

 

スポンサーリンク

 

 

以下、季語「初雪」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 初雪

(ひらがな) はつゆき

(ローマ字) hatsuyuki

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


「初雪」とは、冬になって初めて降る雪のことをいいます。反意語は「終雪(しゅうせつ)」です。

また一般的には、新年になって初めて降る雪を初雪と呼ぶこともあります。

平安時代には、初雪の降ったときに、臣下が宮中へ参内することを「初雪見参(はつゆきのげんざん)」といいました。

これに関しては、公事根源(くじこんげん:室町時代に一条兼良により記された書)に、「昔、初雪の降る日、群臣参内し侍るを初雪見参と申すなり」という記述があります。

気象庁、各地の気象台が発表する初雪の定義によれば、その冬の最初に雪か霙(みぞれ)による降水があった場合が初雪となります。

なお、富士山に降る初雪は秋のものであり、「富士の初雪」は秋の季語となります。

スポンサーリンク

 


【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

うしろより初雪ふれり夜の町
(前田普羅)

今朝は初雪あゝ誰もゐないのだ
(太宰治)

ちらちらと初雪ふりぬ波の上
(正岡子規)

初雪に逢ひたき人の訪れし
(高浜年尾)

初雪にかつと照りつゝ桃落花
(長谷川かな女)

はつ雪に白湯すゝりても我家哉
(小林一茶)

初雪に人寒からぬ御宴かな
(黒柳召波)

初雪の跡さかりなる枇杷のはな
(松岡青蘿)

初雪の恵那のおもての囮かな
(皆吉爽雨)

初雪のたちまち松につもりけり
(日野草城)

初雪の軒に切干匂ひけり
(永井龍男)

はつ雪は朝寝に雫見せにけり
(加賀千代女)

初雪や妓に借りし絵入傘
(日野草城)

はつ雪や医師に酒出す奥座敷
(炭太祇)

初雪や市にほのめく鮫の骨
(会津八一)

初雪やいつ大仏の柱立
(松尾芭蕉)

はつ雪や内に居さうな人は誰
(榎本其角)

初雪や外出の刻せまりつつ
(星野立子)

はつ雪や消ゆればぞ又草の露
(与謝蕪村)

初雪や俥とめある金閣寺
(野村泊月)

初雪や柴に咲かせて山桜
(上島鬼貫)

初雪や水仙の葉のたわむまで
(松尾芭蕉)

初雪や既に薄暮の嵐より
(黒柳召波)

はつ雪やそれは世にある人の事
(小林一茶)

初雪や乳売通る窓の下
(寺田寅彦)

初雪やふところ子にも見する母
(杉山杉風)

はつ雪や松にはなくて菊の葉に
(立花北枝)

初雪やみるみる母の菜園に
(中村汀女)

初雪や紫手綱朱の鞍
(井上井月)

初雪を知らずにいもを量りをる
(阿部みどり女)

 


【和歌・短歌に詠まれた「初雪」】


うらやまし
時をわすれぬはつ雪よ
わが待つことぞ月日ふれども
(藤原定家)

めづらしき
花の都の初雪を
ここのへにさへ降らせてぞみる
(源俊頼)

 


【関連季語・子季語】


淡雪

雪見  雪だるま  雪解け

春の雪

 


【他の季語を探す】


春の季語

夏の季語

秋の季語

冬の季語

新年の季語

五十音で探す

 

スポンサーリンク